新人薬剤師のmoka(@mokapple)です。
薬局に就職してから、思い描いていた薬剤師像とのギャップがあったので、こんなツイートをしてみました。
薬剤師業務やってて何が辛いかって、とにかく急かされる事。
— moka@イラスト×薬剤師 (@Mokapple) 2019年3月18日
速さが大切なのはわかる。
でも、安全性をおろそかにするのは絶対いけないことだと思うのです。 pic.twitter.com/smIzlPSGZk
もちろん色々な考え方があるでしょうが、反応がある程度あったということは、皆さん何かしら同じ事を感じているのだと思います。
入社前の薬剤師のイメージ
私は薬局薬剤師として働き始める前は、薬剤師は薬の専門家、というイメージでした。
薬剤師の主な仕事は
- 処方箋チェック
- 飲み合わせ確認
- 治療方針や患者の理解度を投薬で確認
というものだと思っていました。
高齢の方ですと、何か所か病院に行ったり、何科も掛け持ちして通院されていたりする人も多いので、薬の飲み合わせに問題がないか確認するのは大切ですよね。
検査値を確認して、それを薬歴に記録してグラフにしたり、患者さんの病気についてディスカッションしたり、処方解析したり、そういう仕事をメインでするものだと、本気で思っていました、薬局薬剤師になるまでは。
ちなみに6年制薬学部卒業の場合、「2ヶ月以上薬局実習をしているのに、そこまで入社前とのギャップがあるものなの?」と思われそうですが、実習の内容も薬局によってピンキリですので、実習でどれだけ薬剤師の仕事を学べるかは運しだいです。
速さが最優先?
私は、新人薬剤師に優先して教えるべきことは、薬の知識だと思います。
処方を疑問に思う力や、添付文書を見て確認する癖、必要な情報をどの媒体から入手するかなどを養うのが薬剤師として大切な事だと思うんです。
ですが、私が配属された薬局は、とにかく速さが第一優先でした。
私の調剤にかかった時間を測られて、「今回は〇分かかった。遅い」と怒られることがあるくらいです。
患者さんを待たせるということは、かなり高確率でクレームに繋がるので、皆必死なんですよね。なので、待ち時間を発生させない、というのが重要なのは、わかります。
それでも、一包化の調剤や監査の時間だとか、短時間のうちに何人投薬できるかとか、あまりにも速さが重要視されすぎているように思えました。
私の薬局では、重複投与を防いだことや、過量投与に気づいて疑義したことは全く評価されないのに、一包化の調剤の時間を分単位で数えられ、遅いと怒られる始末です。
患者さんに30分しか待てない、 と言われたら、必ずその時間内に作らなければいけないものなんでしょうか。その内容が、薬の数も多くて、結構重いものでも。
患者さんも体調が悪かったり、ご高齢の方も多い中、長時間待つのは辛いでしょうし、正確に、かつ速く薬を出すのは、プロとして当然の事だとは思います。
それでも、薬剤師として働いてみると、安全性よりも速さばかりに気を取られている気がしてならない。
優先するべきは、やっぱり、安全性じゃないの?
今の環境や、上司から評価されている点を考えると、薬剤師業務は、処方箋どおりの薬を、とにかく速く患者に渡すか、というスピード勝負がメインになっています。
速さに気を取られたあまり、禁忌を見逃したり、重複投与を見逃しているケースも何度か見てしまいました。
薬剤師の本来の業務とは
薬剤師の業務は「薬を飲んで、本当に患者さんのためになっているか」を、患者さんや医師と相談していく事だと思っています。
やたらめったら胃薬が出てて、患者さん本人も何で出されてるかわからない、でも禁忌でも何でもないから、とりあえず早く出す。
患者さんも待つのは嫌だから、疑義照会で待たされて、薬を減らされるよりも、とりあえずさっさと薬貰って帰りたいですよね。
薬剤師である私も、それにのっかって、とりあえずさっさと薬出して帰してしまっています。
でも、それって、「薬局薬剤師って仕事してないよね」とか、「棚から薬出してるだけだよね」って言われても、仕方がない状況を自分たちで作り出しているのでは。
こうせざるを得ない状況なのはわかるし、今すぐ解決できる策が思い浮かんでいるわけでもないですが、どうしても違和感を覚えずにいられませんでした。
対人業務を優先させたい
1度、待たせて怒らせてしまった患者さんの服薬指導を、丁寧にして、しっかり薬の説明をすると、「遅いなんて言って急かしてごめんなさい」と謝ってもらえたこともありました。
時間がかかるのは良くないけれど、しっかり説明ができて良かったと思える出来事でした。
もっと一人一人の服薬指導に時間をかけたい。
飲むのを忘れてしまう薬があれば、飲み忘れを防ぐ方法や、服用タイミングの変更を医師と相談したりしたい。
それができれば、無駄な薬も減らせて医療費の抑制にもつながり、コンプライアンスも向上して、みんな幸せなんじゃないのかなぁ。
もちろん手間はすごくかかるでしょうが・・。
そんな薬剤師像を思い描きつつ、今日も時間に追われながら働いています。