新人薬剤師のmoka(@mokapple)です。
薬学部は6年制。6年間みっちり勉強して、国家試験にも受かって、いざ現場へ!
さぞかし薬のことが分かるだろう、と思われるかもしれませんが、現場は分からないことだらけなのです。
大学で学んだことと臨床現場は違う
大学で薬学を学んでても、臨床現場のことって全くわからないんです。
私は6年制の薬学部卒なので、学生時代に薬局と病院で5ヶ月間ほど実習を経験しており、一応臨床現場には出ているんです。つまり、薬局や病院で、実際に業務を体験しているはずなんですよね。
ですが、実習先の当たり外れも大きいですし、2ヶ月半くらいの短期間だと、何が何だかわからないうちに終わってしまう印象でした。
私の場合、実習先の薬局では殆ど薬を触らせてもらえず、服薬指導もしたことがなかったので、薬局の知識は実質皆無の状態からスタートでした。
もちろん、薬がわからない、とは言っても、一応国家試験の通った薬剤師ですので、多少の知識はありますが、問題は、机上で学んだ知識を、実際の現場でどう使うかです。
教科書上では、飲み合わせが良くない薬と言われても、実際は医者の経験則に基づいて使用されてたり、添付文書と違う用法用量も出るので、とにかく驚きの連続なんですよね。
学校で英語を勉強して、文法とか多少の単語はわかるけど、実生活では英語は話せない、というような感じで、大学で薬のことを学んでも、現場に出ると、なかなか難しい、というのが、薬剤師1年目の私の感覚です。
商品名がわからない
新人薬剤師が、最初に一番苦労するのが、いわゆる「商品名」ではないでしょうか。
大学では全て、一般名で覚えるので、商品名が全くと言っていいほどわかりません。
処方箋を読んでも、なんの薬なのか見当もつかないんですよね。
覚えた薬と同じ数だけのカタカナを、また一から覚え直しです。これが最初の数ヶ月は一番つらかったです。
しばらくたつと、商品名はすぐ覚えてくるのですが、今度は一般名を忘れてしまうので、薬理作用がすぐに思い出せなかったりもします。
薬の場所がわからない
ピッキングするときに、「薬の場所が分からない」んですよね。
劇薬と普通薬の区別もついていない新人時代は特に、「アダラート」を探してア行をうろうろした挙句、結局劇薬の棚にあった・・・なんてことがあります。
薬局によっては、薬があいうえお順に並べられていたり、薬効順に並べてられいたり、ジェネリックは別の場所に会ったり、色々なので、余計に混乱することも・・・。
ピッキングが遅いと、そのあとの監査、投薬がつまってくるので、プレッシャーです。
外用剤が難しい
服薬指導で、私が苦手なのが外用剤の説明です。
吸入器とか、いろんなデバイスがあってわけわからないんですよね。え、すぴりーばとやらを、セットしてほしい?どうやって?
目薬も、溶解液に溶かして使うタイプがあったり、冷所保存だったり、防腐剤を使ってないとか、5ml容器なのに2.5mlしか入ってなくて患者さんに「少ないんだけど」って言われたりとか、正直混乱の嵐です。
説明が難しそうな薬にあたったときは、説明書を熟読してから投薬に挑みます。
ジェネリックの種類の多さに驚き
現場に出て感じたことといえば、「ジェネリックのメーカー多すぎ!!」ってことです。
特に面の薬局だと、同じ薬なのに、メーカー違いで何種類も在庫があったりとかしますよね。
私が投薬した患者さんの中には、同じ薬なのに、入院時に飲んでいた薬とは違うメーカーの薬になってしまったため、見た目が違って困惑していた方もいました。
「同じ成分です」と説明はしたけれど、見慣れていた薬の色や形が急に変わったら、不安だと思います。
外用剤も結構、先発品と後発品で使用感が違ったりしますよね。
私は今まで、「先発品と同じです」なんて説明してしまっていましたが、医療費削減のために、ジェネリックを推進しているのなら、こういう不安が解消できるように説明するのが薬剤師の役割だと思い、ジェネリックの勉強もしています。
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お局薬剤師が怖い
私の経験では、薬剤師という資格を取った以上、「薬が分からない」っていうのは、中々周りには理解されないんです。患者さんにも、同僚にも、上司にも。
私は、中途未経験で薬局に転職したので、薬の知識は抜けてるわ、薬剤師の仕事内容は分かってないわで、全く役に立たない状態で入社しました。
未経験で転職する場合、この辺りを理解してくれる薬局さんだと良いのですが、私の転職先では、全く理解されず、散々罵られる羽目に。
失敗をすれば、「何で出来ないの!?」で責めるだけ。
何で出来ない、って「やったことがないから」以外の答えはないんですけど。
散薬の賦形剤を間違えたり、一包化が遅かったり、確かに迷惑をかけたので、反省して、次は同じ失敗をしないように気を付けようと思ったのですが、上司からは失敗したことを責め立てられたり、その場しのぎの解決策をぶっきらぼうに言われたりするだけで、全く次につなげられませんでした。
ただ、わからないからと言って、薬剤師を名乗る以上、患者さんに適当な対応をするのは絶対ダメですよね。
仕事上でわからなかったとことは、必ずその日のうちに調べて、次患者さんに会うときは、的確な対応ができるよう準備しながら、日々学んでいます。
新人は出来なくて当たり前
新人として入社した薬局で、「あの新人は出来損ない」なんて言われ、数ヶ月間職場でのストレスを我慢し、キリキリする胃痛に耐えた結果、これ以上ないくらいの胃痛に悩まされるようになってしまいました。
街中を歩いていたら、突如、激痛に近い腹痛に襲われて身動きがとれなくなったので、病院に駆け込んで胃カメラを飲むと、胃が真っ白になっていました。ポリープがいくつかできていて、逆流食道炎になってしまっていたんです。
何食べても、胃が痛いし、なんなら何も食べてなくても痛い。
一番ひどい時期は、食事ものどを通らなくて、本当につらかったです。
そもそも何故ここまでこじらせたかというと、自分のストレスに気付いていなかったからなんですよね。
職場から帰って来るたび涙が止まらなくなり、常に眉間にシワをよせるくらい気分が滅入っていたのに、体調を崩すまではこれがストレスだと気づきませんでした。
人に物を教えてもらう立場になって、初めて教育の大変さがわかったんです。人に物事を教える、というのは、一筋縄ではいかないんですよね。
相手がどこまで理解していて、どこからがわからないのかを把握し、さらに手本を見せて、1度自分自身でもやらせないといけない。
出来ない新人を見てると、イライラする気持ちもわかります。
教える側の人間も、自分が新人だった頃の記憶を呼び覚ましながら人に物を教えるのはきっと、ものすごく大変なのでしょう。
新人教育の経験がほとんどない現場で、出来ないことばかりを取り上げられ、さんざん罵られ、1年目は正直辛かったです。
よく、「ストレスたまるなら休めば良い」「パワハラの横行している職場なんてさっさと辞めたら良い」なんて話を聞きます。
私も全く同感だったのですが、そもそも自分が逃げなければいけない状況だと自覚すらできないんです。出来ない自分が悪いのだから、頑張らなければ、と。
涙が止まらなくなって、家族に助けられ、何とか転職できましたが、地獄を味わうこととなりました。
これから、新人薬剤師として新たなスタートを切る方も多いでしょうが、最初の頃は仕事ができなくて落ち込むことも多いかもしれません。
新人の仕事は、仕事を覚えることなので、毎日学習することを怠らないのはもちろんですが、出来ない自分を責めることはやめてほしいな、と思います。